げねのチラ裏

げねのブログです。だいたい音楽について語っていますが、たまに他の事にも触れます。気が向いた時に更新していこうと思います。

げねの日記 2023年 5月編

5/4


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 水曜日のカンパネラの新曲「金剛力士像」が良い。「アリス」とかでも感じたけど、水カンの根底にはやっぱりメロの良さがあるんだよなーと思う。そしてMVのラストシーンでダンサーがトゥワークしながら花を撒いているのがシュール。

 

5/5

 近くのハードオフに行ったら、楽器コーナーでアコギを試奏している人がいた。出音やタイム感がかなり安定していて、上手いってこういうことなんだろうなーと思った。その演奏を聴いていると、自分もアコギをちゃんと弾けるようになりたくなってきた。やっぱりエレキとアコギでは勝手が違うし、アコギがあればギタリストとしてのアプローチの仕方が広がると思う。家でも弾けるくらい生音の小さいエレアコが欲しい。

 

5/7

 ベースを弾いている兄弟が 、Bacchusのジャズベースにシリーズ/パラレル切り替えの改造をするというので、口を挟んだりはんだ付けを手伝ったりした。兄弟はこうした作業が初めてだったが、最終的に配線して一発で音が出たので、かなりうまくいったと思う。成功してよかった。

 うちにはんだ関係の電子工作キット一式があるのは、中古で買ったPark by Marshallのアンプを直すためだった。ある日アンプの音が出なくなったので基板を確認すると、あろうことかアウトプットジャックを接着剤でくっつけるという一番やってはいけない方法での補修がなされていた。自分ははんだ類一式を揃えて修理に挑戦しようとしたものの、基板の奥深くまでべったりと接着剤が浸透していたのか、直ることはなかった。結局そのアンプは捨てざるを得なかった。

 今回はその時揃えた材料が役に立った。押し入れの奥で眠っていたものがこうして有効活用されて良かったと思う。それを見ていて、自分も電子工作に手を出してみてもいいかもなーと思っている。エフェクターを自作するのもいいかもしれない。

 

5/8


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 amazarashiの新曲を聴いてすごいなーとなってる。情景を生々しく想起させられる歌詞の表現がありながらも、めちゃくちゃ韻を踏みまくって音としての快楽も追求している。フォークとラップのマインドを両方持ちながらもそこから一歩踏み込んでクロスオーバーできているのがamazarashiの凄さだと思う。中学の修学旅行でしか青森には行ったことがないので、秋田ひろむの詩によって青森のイメージが形成されかけているところがある。

 

5/9

 カーテンに蜘蛛がくっついていた。僕は夏の訪れを感じながらも、今年も虫が出る季節がやってきたかとうんざりしていた。僕は虫が苦手で直接触ることができないので、掃除機を取り出し蜘蛛を吸い込む態勢に入った。

 別によくよく考えてみれば、虫だって自分たちと同じタンパク質でできた生物なのだ。何を恐れる必要があるのか。子供時代に虫を追いかけまわしていた人だってたくさんいるだろう。しかし人は大人になるにつれ虫に恐怖や嫌悪を覚えるようになっていく。それは毒などを持っている可能性を警戒する本能だろうか。それとも目が2つ、手足が2つずつといった人間と姿がかけ離れた外見を気持ち悪く思い始めるからだろうか。

 意識を厳戒態勢にし掃除機のスイッチを入れると、蜘蛛がこちらに向かって飛んできた。僕は「う↑お↓~~~~」と奇声を発しながらも、なんとか蜘蛛を掃除機でとらえようとした。蜘蛛はいなくなった。若干のパニック状態だったためか、そこら辺の記憶が定かではない。蜘蛛は掃除機に吸い込まれていった気もするし、自分の顔の横をかすめて飛んで行ったような気もした。その蜘蛛が今も部屋の中にいるのかどうかは定かではない。

 

5/14

 外に出ると魅力的な商品がたくさん売っている。今日はハードオフでMade in Japan hybridのテレキャスターが7万で売ってたのを見つけた。薄ピンクの塗装が魅力的だった。そしてBOSSのDS-2が5千円で売ってた。半導体不足の影響からか、最近のBOSSエフェクターは中古品でも相場が高くなっている。DS-2も中古で8、9千円で売られることが増えてきた。たぶん金があったら買ってたかもしれない。もし自分がたくさんの金を手に入れれば、自分の部屋はすぐに機材でいっぱいになってしまうだろう。金が無いことで自分の物欲をセーブでき、本当に買うべきものの厳選ができているのかもしれない。

 

5/28


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 テレビ東京のプロデューサー・大森時生さんの新作「SIX HACK」がYouTubeで配信されていたので見てしまった。大森さんのことは「このテープもってないですか?」、「Aマッソのがんばれ奥様ッソ」、Aマッソのライブ「滑稽」のことを小耳にはさんでいて気になっていたが、TVerでの配信期間の終了もしくは舞台公演ということで見る機会がなかった。いずれも内容がガチホラーということで、軽く情報を入れるだけにとどめておいて良かったのかもしれない。もし好奇心に負けてそれらを事前情報なしで見ていたとしたら、高確率でトラウマになっていたことだろう。しかし今回の番組はYouTubeでも公開というハードルの低さもあって、ついクリックしてしまった。

 「SIX HACK」では最近人気のオモコロのメンバーであるダ・ヴィンチ・恐山さんが構成を担当しているらしく、そのためかホラーというよりはブラックジョーク寄りの内容でビビらずに見れた。他の人の感想を見ると、オモコロを見ているとわかるネタなども挟まれているらしい。全編に風刺・皮肉がこれでもかと入れられていて、こんなことをできるのはテレ東だけだろうなあと思う。しかしこれからがどうなるか… Aマッソのライブ「滑稽」では縦軸のストーリー要素を大森さんが手がけ、Aマッソのネタを侵食していくようだったと聞く。「SIX HACK」にもやっぱり作品を貫く世界観はあるんだろうと思う。最後のFranz K Endoさんパートが伏線というか、全体像を明らかにする鍵になっている気がする。いつガチホラー展開に舵を切ってもおかしくはない。それでも僕は好奇心に負けて「SIX HACK」を見続けてしまうと思う。頼みの綱は恐山さん。大森さんのホラー感を恐山さんが良い感じに中和し続けてくれることを願う。まあでもそんなことはたぶんない。

 

5/29


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 昨日の日記と関連するが「SIX HACK」の2話において、炎上を恣意的に作り出す方法が解説されていた。炎上には悪い炎上といい炎上があって、いい炎上とは「賛否両論が出て、どちらの陣営も何か言いたくなってしまう」炎上のことだという。

 しかし現実では、どこからどう見ても「悪い炎上」に見える炎上が賛否両論の様相を呈していたりする。例えば、売名行為のために悪意100%でしかない行為をやっていた人たちがいる。それもSIX HACKで取り上げられていた「悪い炎上」のレベルではない (詳細を書くとすぐ分かってしまうので詳細は伏せる) 。それにもかかわらず、炎上した人たちは有名人からもかなり擁護されていたり、そういった行為で売名することが「頭がいい」と評価されたりする。フィクションの世界で描かれた皮肉を、現実が悠々と越えていく。やった事そのものではなくその人たちの人気、SIX HACKで言うところの「偉い」かどうがで善悪が決まる時代が来ているのかもしれない。

 

5/31

 家から少し行ったところに河川敷沿いの道がある。自分は最近そこを通って出かけているのだが、この時期になると道の脇の茂みからよく虫が這い出して来る。この前は、数十匹の干からびたミミズの死骸が道に転々と転がっていた。一番嫌なのが、毛虫がのそのそと道を横切ってくることで、どう避ければいいのかわからなくなる。最近その河川敷の道を通る時は、虫に出くわさないように怯えながら祈っている。

げねの日記 2023年 4月編

4/5

 自転車の鍵をなくした。以前一回鍵を失くしたことがあり、その後から持っていたスペアの鍵も失くしてしまったので、錠そのものを交換しなければいけなくなった。しかし、鍵本体+700円ほどで交換できたので、思いのほか支出は抑えることができた。今度は鍵が3本ついてきたので比較的安心。しかし欲を言えばスペアキーは5本くらい付けて欲しい。

 

4/10

 今日、突然虚無感が自分を襲ってきた。突然何もやる気が起きなくなるというか、気力がなくなるとかそういうのとは少し違う。生き甲斐が無いというか、自分の未来に目的地がないのに気付くというか。だが、こういう時こそ曲を作ろうと足掻いてみるべき時だったりする。

 

4/11

  YouTubeのおすすめで出てきたので見てみたら、とんでもない動画だった。コウメ太夫さんのネタに映像作家が映像をつけるシリーズがあって、その中の一つらしい。謎の中毒性があってずっとリピートしてる。


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 このシリーズには様々な映像作家が参加しており、色々見てみたところカンノマサヒロさんの作品が気になった。アナログホラー全開の作風で、コウメ太夫さんのネタに自分の世界観をぶつけてくる。しかしただ怖いだけかと言えばそうではなく、ちゃんとネタを丁寧に (?) 表現しているのとパロディネタがふんだんに使われているのもあり、ちゃんと笑える映像になっている。


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 カンノさんはTwitterYouTubeの「ジェイムス映像」で自らの作品を公開している。それらの作品群を見てみると、コウメ太夫さん関連の一連の動画と世界観を共有しているらしい。「ジェイムス映像」で公開されている映像が一瞬挿入されたり、共通するモチーフが使われていたりと考察しがいがありそう。

 

4/16

 最近UKロックをずっと聴くターンに入った。Arctic Monkeysを筆頭にBlurOasisBloc Partyなどをよく聴いている。あとTwo Door Cinema ClubやBombay Bicycle Clubも聴き始めている。最近のYouTubeの履歴を見たらArctic MonkeysBlurを交互に聞いていた。


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4/18

 今日は用事があって街の中心部に行ったのだけど、目的地に結構早く着いてしまった。流れる川を眺めながらふと周りを見回すと歩道橋があったので、歩道橋の上で景色を見ながら黄昏ようと考えた。早速階段を上って歩道橋の上に足を踏み出した瞬間、自分と地面の間にある距離を実感し、目眩と恐怖が襲ってきた。自分はすぐに来た方に引き返し、すぐに歩道橋を下りた。自分は自分が思っている以上に高所恐怖症だったらしい。

 

4/19

 予定があったので町の中を歩いていると、腕を組んで満面の笑みで歩いているカップルを見つけた。あまりにも満面の笑みであったから、何だか面白くなってしまった。

 

4/28

 People In The Boxのニューアルバム「Camera Obscura」の詳細が出た。曲名を見るだけでニヤニヤしてしまう。「DPPLGNGR」(恐らくドッペルゲンガー) は今までになかったタイプのタイトルだし、「中央競人場」は「馬ではなく人が走らされるのか…」と想像が掻き立てられる。中でも「自家製ベーコンの作り方」は相当インパクトがあったらしく、Twitterがざわざわしていた。

 あと、「Tabula Rasa」に続いてCD販売は公式ショップとライブ会場限定なのねと思う。やっぱり配信が主流になってきてCDがコレクターズアイテム化している感じはあるからなあと思う。時代の流れだろうか。


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4/30

 複数本立てられるギタースタンドが欲しいと思い調べたら、かなり高かった。安くても4000円ちょっとはする。やはり一本ずつスタンドに立てかけるのはスペースをとるので、いつかは複数用のスタンドが欲しいなと思う。今のところはCLASSIC PROに目をつけてる。

 

げねの日記 2023年 2-3月編

2/24

 LINEのアカウントの整理をしている途中に、なんとなく中学の同級生のグループLINEに参加している人々のアカウントを見ていた。 数年前に中学校の頃のクラスメイトが (当時ほとんど関わりがなかったにも関わらず) 家を訪ねてきて、「同窓会をやる予定だから」といってLINEのグループに入る流れになったのだ。結局その同窓会には行かなかったけど。

 それらを見ながらたまたまイヤホンから流れてたBloc Partyの「Signs」を聴いていたら、なんとなく懐かしいような切ないような気持ちになった。自分一人だけどこか別の世界に取り残されたような、そんな気がする。とはいえ中学時代に友達がいた訳ではなくずっと一人だったので、この郷愁がどこから来ているのかがわからない。郷愁が脳内で勝手に捏造されている。


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2/27

 ネット上でたまに見られる「少数派は声がデカい」というネタがある。少し前にバーバパパという正体不明のYouTuberが作った「やや左側にかたよった教育番組」という動画にて出てくるワードだ。これは共産主義を真っ向から茶化した作品だ。この共産主義いじりは冷戦時代から何度も繰り返され、ある意味食傷気味なテーマだ。そもそも世界観が全く分からないことがほとんどであるバーバパパの動画の中では珍しい一作だ。


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 しかし、自分とは反対の意見を言っている人を指して「少数派は声がデカい」と揶揄する人たちが目につくようになった。バーバパパの動画における「少数派は声がデカい」は、反対意見が「少数派」であると勝手に決めつけられて弾圧されることに対する皮肉、または少数派であることを理由に迫害されるといった数の暴力への批判と読み取ることができる。この動画の文脈からはほぼ確実に共産主義を茶化していることがわかるのだけど、そうするとこの動画における共産主義側の主張である「少数派は声がデカい」は肯定の意味で使用されてはいないだろう。やっぱり作者の意図を汲まないで、文脈が理解されないままネタが使われていると気になる。

 

3/3

 数日前に、衝動的にすね毛を剃った。自分は毛が濃い方で、よく床に抜け毛が散らばるのが悩みだった。不潔だし掃除も大変なので、いっそ剃ってしまった方がいいだろうとふと考えた。また、すね毛の長さによってどのくらいのチクチク感があるのかを実際に感じ、今後のすね毛処理に生かそうという目的もあった。

 しかし自分の考えは甘かった。すね毛を剃って1日ほどたつとチクチクが始まったが、それはだんだん耐え難い痛みになっていった。日中動いているうちにズボンと肌が擦れることによって、チクチクは肌を攻撃していった。すねには毛穴を中心とした湿疹が広がり、夜には毛が原因とは思えないほどの焼けるような痛みが襲ってくる。やっぱり除毛クリームなどを使うしかないのだろうか。毛の恐ろしさを思い知っている今日この頃です。

 

3/8

 久しぶりに家の近くの中古ショップに行った。楽器コーナーに行くと、あるお客がEpiphoneの松本孝弘さんモデルを手に取り吟味しているところだった。その人は店員の「試奏できますよ」という問いかけに対して、「大丈夫です、これ買います」と即答した。おそらくこの人はギターのチェックポイントをあらかじめ決めて、それを一瞬でチェックし買うかどうかを即断即決したんだ。たぶんこの人はただものではない。長年ギターと対峙してきた歴戦の猛者だ。

 

3/11

 ジャズマスターの弦が切れたので、今日はギターの弦交換のついでにフレット磨きをした。指板周りのメンテナンスは弦交換の時くらいにしかできないので、この機会にと一気にやった。フレットは、ホームセンターでピカールケアーを買ってきて磨いた。これでチョーキングとかがやりやすくなればいいな。

 あと、ジャズマスターについていたバズストップバーを外した。自分が持っているBacchusのBJM-STANDARDにはバズストップバーがデフォルトで搭載されていて、本家ジャズマスターに音を近づけるとどうなるかが知りたかった。心なしかミドルが太くなった気がする。さらに、アームでのピッチベンドの範囲が格段に広がるという思いがけない恩恵があった。これだけでもバズストップバーを外した甲斐がある。

 

3/13

 実は数日前からジャズマスターが不調で、センターのハーフトーンが出ない。たまにフロントやリアからの音も出ないときがある。ピックアップを切り替えているとフロントやリアも出たり出なかったりすることがあるので、トグルスイッチに問題があるらしい。

 このジャズマスターは無料補償の期間内だがオンラインショッピングで買ったので、現物を発送元の店舗まで送るための送料がかかる。そうすると家の近くの楽器店でリペアしてもらった方が費用が安くなってしまう。ギターをネットで買うときの弊害を実感した。でも家の近くには良いジャズマスターがなかったのでしょうがない。そしてトグルスイッチの交換くらいなら自分でもできるかなーとも考えている。

 

3/22

 本のレビューを書いた。恐らくこの日記をまとめたやつの前の記事にあるだろうと思う。あまりにも引きずる内容だったので、レビューを書いて言語化することで心の中を落ちつけた。実はこれ以前にもいくつかの作品のレビューに挑戦したのだが、現在小説のレビューが3つ、映画のレビューが4つ書きかけのまま放置されている。しかし今更完成させるモチベーションもない。

 

3/23


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 数年前から定期的に見たくなる動画。シンセサイザーを弾くアロハシャツの人のインパクトが凄い。ニコニコ動画だったら赤文字コメントで「鈴木もぐら」と書かれているだろうと思う。

 しかし、80年代のシンセポップや歌謡曲に通底するメランコリックさというか切なさの正体は一体なんだろう。良い意味でのダサさとメロディの良さが隣り合わせで繋がっているような感じがとても好きだ。「На заре」は、サウンドにはMolchat DomaやBlack Marbleにも通じる冷たさがあると思うけど、やっぱりメロディには80年代感がある。自分はサウンドにその年代の特色を持ちつつも、かつ時代に左右されない良さがあるものが好きだ。

 今は情勢的にロシアの話をすることが気まずい時代になってしまった。ロシアはいずれ然るべき方法で断罪されるだろうし、そうあるべきだ。けれどその土地で生まれた文化に関しては、評価すべき対象として後世に残る未来を期待したい。

 

3/24

 そこそこ近くのブックオフで、楽器コーナーがなくなった代わりにカードゲームのデュエルスペースができた。最近カードゲームが熱いらしい。自分は小学生の時にポケカデュエルマスターズをやったきりカードゲームには触れていなくて、ずっと負けていた記憶だけがある。このデジタル化の時代に、現物としてのカードが流行っているのを見ると、カードにおける実際の「モノ」としての価値は衰えていないんだなと感じる。

 

3/28

 Richard Avedonという写真家が撮影した、Killer Joe Piroという人のポートレートをプリントしたTシャツがめちゃくちゃ気になっている。

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 もし自分が将来どこかのステージに立つとして (妄想) 、このTシャツを着てステージ上に出ていったら観客に恐怖と笑いを与えられると思う。ただし、このTシャツは気軽に買えて着れるような代物ではなく、ギターが買えるほどの値段で取引されているレアものである。自分はファッション界隈に詳しくないので、何万もするTシャツを着るなんて想像もできない。凄い世界を覗いてしまった。まあ楽器界隈にいる自分がこんなこと言っても特大ブーメランだけど。

 

3/29

 今日、近くの中古ショップでAriaProIIのベース弦が200円で売っていたので買った。最近は弦の類がとんでもなく高騰しているので、セール品があるとすぐ買いたくなってしまう。今日買ったAriaProIIの弦は定価でも900円くらいするので、この価格で見つけられたのはとてもラッキー。

 

3/31

 もう3月が終わる。明日はエイプリルフール。今年もまた多くの人がまだ見ぬおもしろを求めて様々な知恵を巡らせるだろう。

 

YAMAHA SBV-550を買った

 ついにやってしまった。YAMAHAのSBV-550を買ってしまった。ずっと憧れていたSBVが今自分の手元にある。

 

 

 YAMAHAのSBVシリーズとは、YAMAHAがかつて生産していたベースのモデルである。種類としてピックアップがジャズベース仕様のSBV-500、ピックアップがPJ仕様のSBV-550、その他に元SUPERCAR・現LAMAのフルカワミキさんや岡野ハジメさんのシグネチャーモデルがある。シグネチャーモデルは中古市場では特に高値で取引されている。

 SBVが欲しかった理由は、POLYSICSのフミさんが使っていたから。自分がSBVに興味を持った時にはもうプレミアがついていて、しかも自分が欲しかった550 (PJ配列仕様) は10万円以上 (つまり定価の2倍以上) で取引されている事なんてざらにあった。そのためかつての自分には手が出せず、SBVが買えるくらいのお金を持つようになる頃には市場に在庫はないだろうと諦めていた。しかし少し前にSBV-550を6万円で売っていた店を見つけたことがきっかけで、自分の中のSBV熱が再び再燃してしまった。自分はそこから、SBVを買うことについての考えが頭から離れないままの生活を送っていた。

 そして1月の終わりに、さっきのとは別の店でSBVが6万円で売っているのを見つける。そこまでならよかった。よく見るとその店では年始のセールをやっており、SBVが元の価格から1万円値引きされて5万円で売られていた。ここまで安くなると定価にもかなり近づく。2000年初期と現在の物価の違いも考慮すると、普通の中古品としてかなり妥当な額に近づいているのではないかと考えた。その結果、三日三晩悩んだ末に5万でSBVを買ってしまった。SBVが届くまでの間はずっとそわそわしながら過ごしていた。

 

 そして2月頭にSBVが届く。届いたSBVを見てみるとかなり状態が良かった。フレットも十分残っていて、個人的には中古品の中でも新品に近いコンディションに思えた。ネックはかなりストレートじゃないかと感じる。この状態だったら10万円のプレミア価格で売っていたとしてもおかしくないと思う。本当に良い買い物をした。

 早速弾いてみた。第一印象としては、まず出力がデカい。アンプにつないで音を出してみると、いつものベースより明らかに音が大きい。オーディオインターフェイスに繋いでも音割れしまくるので、インプットを限界まで下げなければならなかった。パワフルな音で有名なSBVの名は伊達じゃなかった。

 そして、いつもCDで聴いていた「あの音」が出る。ミックスだとかなりゴリゴリで個性的なサウンドPOLYSICSのフミさんの音は自分にとってベースの音の指標の一つとなっているので、それが出せるようになったのは嬉しい。加えてフロントピックアップのみだとオーソドックスなプレベの音が出るので、ミックスの音だと個性的すぎるという場面でも安心。そして、一番想像と違ったのはリアピックアップの音だった。一般的なジャズべのリアピックアップは、個人的には音が固くなると同時に細くなる印象があった。だけどSBVのリアは音が太いまま固さが出てくる印象がある。単体でも全然使える音。トーンの効きも良く、トーンを少し絞って弾くとおいしい中音域を残したまま落ち着いた音にもできる。思った以上に幅広い音が出せる1本だった。

 そしてとにかく音抜けが良い。自分はPC上で曲を流しながらDAWにギターやベースを繋いで練習をするというのをよくする。このときベースを弾いていると、流している曲にベースが埋もれて聴こえなくなることがある。だけどこのSBVは音量を下げてもベースの音程が埋もれない。これから曲を作っていくときに、ミックスの場面において大きなアドバンテージになると思う。SBVのサウンドを一言で表すと「存在感のある音」だろうと思った。

 

 あと、実際触ってみてわかったこともあった。SBVを弾いてみて、自分が思っていた以上に繊細なコントロールが必要であることに気が付いた。SBVのピックアップはボールピースが飛び出してむき出しになっているので、そこに弦が当たりバチッというノイズが出やすい構造になっている。それに加えて弦高がかなり低く、サドルが限界まで上がっていたにもかかわらずピックアップと弦の距離がかなり近い (この問題を解決しようとした前所有者の試行錯誤の痕跡が伺える) 。そもそも、ベースの設計の段階で弦高は低めに想定されてたんじゃないかと思う。自分としては、ピックアップの高さをもうちょっと下げられれば弦への干渉をもう少し減らせるのではないかと思っている。でもピックアップも限界まで下がってる気がするんだよな〜 あとは自分の手元をうまくコントロールする練習が必要だな。

 

 というわけで、今自分の手元にはジャズマスターとSBVという最強の布陣が揃っている。この2本があれば相当自分の好きな音が出るに違いない。ネットでギターを見ていても、「でもジャズマスターとSBVがあるしな」と思い以前ほどの機材に対する物欲はなくなった。今年はこの2本をとにかく弾きまくりたい。絶賛スランプ中ではあるけど曲も作れたらいいなー。いろいろと頑張りたい。

 

 ちなみに、SBVに純正のソフトケースがついてきたんだけど、SBVの独特な形状のボディを収めるためかなり変な形をしていた。そして自分が持っていたベースのケースにSBVは入らなかった。失くさないようにしなければ。

 

今日の一曲


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 自分はPOLYSICSからも大きな影響を受けていて、自分にとってアジカンヒトリエサカナクションといったバンドと同じくらい重要な、自分の音楽観の核の部分を形成したバンドの1つだ。月日が経って、楽器周りの環境がどんどん自分の憧れに近づいている。環境が整ってくれば、後は自分が何をするかが重要になってくる。次は、これから自分がどんなものを作るかが問われるフェーズになるだろうと感じている。

 

げねの日記 2023年 1月編+α

1/2


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 友人におすすめされた宝鐘マリンさんの「Unison」を聴いてみた。作曲はyunomiさん。コード感のほとんどないミニマルテクノとJ-POP・アニソン的なメロディーが互いに独立して進んでいくような感覚で、良い違和感を醸し出しながら強烈な印象を残す。


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 インストになるともう完全にバリバリのミニマルテクノで、そういう系のクラブで流しても全然いけそう。調べてみると元SUPERCARのナカコーこと中村弘二さんが絶賛していた。

 

1/6

 自分が音楽を作るには、二次元から離れないといけないのかもしれない。恥ずかしながら、ここ最近はpixivなどを見ながら、自分が今の自分でない世界で活躍する妄想をずっとしていた。正月休みにもずっとpixivを見たり、ブックマークの整理などをしていた。しかし今日、一気に意識を現実に引き戻される出来事があった。すると今までどこか夢見心地のような気分だったのが、一気に今のどうしようもない自分に目が向いた。めまいがしてきて、目の前がいくらか暗くなったような感じがした。

 思い返してみると、自分自身を主人公として妄想を繰り広げているうちはまだよかった。しかし、自分にあたる存在を現実とは全く違う設定にし始めたのがいけなかった。それを始めると、我に返った時に現実とのギャップに打ちひしがれてしまう。

 だけど良いこともあった。ネットサーフィンへの欲がなくなりDAWを開くと、久しぶりに打ち込みができ曲のアイデアが少し広がった。「空の考察」の収録曲を作っていたあたりの時期はずっと胃のあたりが重たく、脳内にもやがかかったような感覚だった。そんな時期の状態に戻ったかのような感覚がある。しかし、もしかしたら楽になろうとしてまた妄想の中に入ってしまうかもしれない。現実を見据えて創作をするか、それとも妄想という鎮痛剤を使い続けるかという2つの間で揺れ動いている。何かを作るということは、終わりのない希死念慮との戦いなのかもしれない。

 

1/9

 ヒトリエのシノダさんがOPとEDを作曲した「ジャスティスボーイ真2」の作者であるすあださんの動画シリーズ「おらんおらんばあ」を見ている。若干病んだ精神状態である今の自分には少し心地良い。


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1/10

 「陰キャブコメ」というゲームが話題になっていることを知った。登場人物の多くがイケメンな中、「だいだい」というキャラだけがかなり解像度の高いオタクのビジュアルをしていた。そのキャラを見たとき、「俺やん」という気持ちと「キモッ」という気持ちが同居した。「自分って客観的に見るとこんなにキモいのか!?」ということに衝撃を受けてしまった。よく聞く「生理的に無理」という感覚が少しわかったと同時に、その対象が自分に限りなく近いということがショックだった。「オタクはキモい」というようなよくある偏見の次元ではなく、それ以前にまず清潔感を身につけないといけないんじゃないかと焦り始めている。

 せめて人を不快にさせないための清潔感くらいはなくてはいけないと思い、おそらく生まれて初めて髪型や眉毛の整え方について検索した。しかし何もわからない。別の世界の言語が飛び交っているような感覚だ。全てがわからなさすぎて、昨日見た「おらんおらんばあ」の自己肯定感の回の最後みたいな感じになっていた。


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1/13

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 イシバシ楽器YAMAHAのSBV-550を6万円で見つけた。欲しい。今までSBV-500(JJ配列)はたまに中古であったけど、550(PJ配列)はなかなか出回らず、市場価格はだいたい10万円前後だった。SBV-550が欲しい理由は、POLYSICSのフミさんが使っていたから。フミさんのベースのゴリゴリした音がとても好きで、あの音を自分でも鳴らしたい。もっと言えば自分の曲に取り入れたい。

 おそらくこれを逃せば自分は一生SBV-550を手に入れられない。自分が買わなければたぶんすぐに他の人が買ってしまうだろう。しかし今手元にはこれを買えるだけの金がない。まあSBV以外にも良い音のベースはたくさんあるわけで、ここで焦って貯金を切り崩すのは得策ではない。レア物だろうがそうでなかろうが、それぞれの楽器にそれぞれの良さがある…という感じで今は買わない理由を探すターンに入っている。

 

1/14

 サカナクションの「SAKANAQUARIUM 2011 DocumentaLy」の配信を見た。発売当時の爆音試聴パーティーの配信のことなど、懐かしいことをいろいろ思い出す。

 12年前に作られた曲だが、「エンドレス」が今の時代に刺さる。今の社会では、何かに憤慨したり嘆いたりしている人に対して、茶化したり笑いものにしたりすることが多く見られる気がする。不満を漏らすことだけでなく、悲しんだり怒ったりすること自体も満足にできなくなっているような気がする。

 しかも今の自分は、前述した日記からも分かる通りそこそこ落ち込んだ精神状態にある。その上ツイッターで「ギャラリーストーカー」の記事が目に入ってきたことも鬱々とした思考に追い打ちをかけた。人間の「悪」の性質からは絶対に逃れられないとしたら、他者への恐怖や不安を感じ続けながら生きなければいけないということだ。自分が「終わらせる人」になるにはどうすればいいだろう。

 と思ってたら次曲の「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」で、ステージ下から山口人形がせりあがってきて踊り始めた。少し笑顔になった。サカナクションがしばしばやるトンチキはなんとなく安心する。

 

1/23

 今まで、スマホにかかってくる電話にまともに出られた試しがない。だいたいあわあわしている間に電話が切れてしまうか留守電になってしまい、こっちから折り返す羽目になる。しかも自分は電話をかけるのに相当な心の準備を要するので、30分ほどの無駄な時間を過ごす羽目になる。今日は「応答」のボタンと間違えて「切断」のボタンを押してしまった。

 

1/25

 ここ1年間で、VTuber関連の情報に接することがかなり増えた。最近は、御子柴仁さんという方がヒトリエのファンであることを配信で言っていたことを耳にした。また、最近デビューした鏑木ろこさんという方もヒトリエについて言及していたらしい。もしかしてヒトリエファンの規模がじわじわ増えてきてるのか? ついにヒトリエに世間が追いついてきたか (喜) 4年おせーよ (怒)

 

1/28

 色々と一段落した。落ち込んでた気分も少し上向きになるかも。

 

1/29

 中古のFender Japanのジャズマスターが27万で売られていた。前はだいたい10万前後で売られている印象があったのに。かつては廉価版的な立ち位置だったFender Japanもだんだん中古相場が上がり、ついに25万超えの大台に突入してしまったのか。最近楽器関連の商品の値段高騰が著しい。以前ポールリードスミスがべらぼうな値上げをしたあたりから兆しはあった。その後有名メーカーが次々と値上げを発表し、少し前には弦の値段も上がってしまった。若者のギター離れとか色々言われているけれど、そもそも木材を使った楽器が手の届かないものになって、代わりに打ち込みや電子楽器が主流なものになっていっているのかもしれない。もはやギターやベースが金持ちの趣味になるのもそう遠くないかもしれない。だけど自分はやっぱりギターが好きなのでギターを弾き続ける。

 やっぱりギター界隈も、これからの時代に向けて新しいギターのあり方を模索していく時期ではないだろうかと思う。ギター界隈は保守的で、アルダーやローズウッドなどの定番の材以外はランクが下に見られがちだ。だけどこの世には天然・人工に関わらず、ポテンシャルを持ったまだ見ぬ素材がたくさんあるのではないか。最近様々なメーカーで指板として人工素材であるリッチライトが使われ始めたように、人工素材にも光が当たり始めている。定番の材以外は音が悪いという先入観を壊し、プレイヤーが新しい材を使って良い音を鳴らしていくことで、新しい価値を生み出していく必要があると思う。

 

1/30

 ブックオフPeople In The Boxの「Ghost Apple」を買ったら、歌詞カードにメンバーのサインが書いてあった。自分はあまりサインには興味ないけど、実際にあると嬉しい。というか自分だったらサイン入りのCDを売ることはしないなと思いつつ、CDの前の持ち主のことに想いを馳せていた。

 サブスクで聴くことができても、いいなと思った音源はやっぱり盤で欲しい。データだともしPC上やクラウド上で何かあった時に簡単に消えてしまいそう。盤そのものがあればプレイヤーさえあれば聴ける。

 

1/31

 YAMAHAのSBV-550が (1/13の日記の店とは別のところで) 6万円で売ってた。しかもセールで1万円安くなっており、5万円で売り出されている。6万は結構きついけど5万ならギリギリいける。SBVに手が届くタイミングは今しかない。22時になっても在庫があったら買うと決めた。自分がライブにも行かない、遊びにも行かない、外食もしない人間であることが幸いだ。こまめな出費がないので、こういう時に一気にお金を使える。

 

2/1

げねの日記 2022年 11-12月編+α

11/14

 電音部のライブ映像の配信がやっていたので見てみた。Yunomiさんが手がけた「Distortion」にびっくりした。二次元コンテンツでこんな音出していいんだ。Yunomiさんの曲は「インドア系ならトラックメイカー」くらいしか知らなかったので、イメージと違ってこんなバッキバキの音も出してた人だったんだと思った。


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 そしてラストのダンスパートで使われていたShin Wadaさんの「godz」がとても好き。でもライブBDの特典CDにしか入ってないらしい。ショートバージョンは動画で聴けるけど、フルもサブスクとかで上げてくれないだろうか。


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11/19

 Ginger Rootのライブ配信を見た。Ginger Rootのライブは原曲よりもアグレッシブな演奏でテンションが上がる。サポートのディランとマットも上手い。Juban Districtのセッション部分でのアニソンメドレーも熱かったし、Lorettaでマネージャー(をMVで演じている人)が出てきてサックスを吹いていたのもびっくりした。


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 そしてトリプルファイヤーのスタジオライブも上がってた。吉田さんと演奏陣の間に微妙に距離がある構図がなんだか笑えてくる。そして「サクセス」の歌詞の変わりようが凄い。トリプルファイヤーはフルのライブ映像がいくつか上がっているけど、「FIRE」以降の新曲がどれもかっこいい曲ばかりなのでニューアルバムが出るのが待ち遠しい。


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 あとサカナクションも魚図鑑のツアーの映像を配信していた。コロナ禍を経てライブを配信するアーティストが増えたのが嬉しい。

 

11/27

 元ゆるめるモ!のあのさんの新曲「ちゅ、多様性。」が話題になっていたので聴いた。元・相対性理論、現・集団行動の真部脩一さんが作曲を手がけているのだけれど、話題になっている通り相対性理論の「LOVEずっきゅん」に似ていた。特にリズム隊はほとんどまんま。しかも1:31からのベースのフレーズが「LOVEずっきゅん」のイントロで永井さんが弾いてたフレーズで、これは絶対に確信犯。自曲のセルフパロディをタイアップ曲に持ってくる大胆さよ。歌詞もタイアップ先であるチェンソーマンのネタに寄せまくってて、バズらせようとする強い意志を感じる。


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11/28

 シェルビー・スティールの「黒い憂鬱」を読了した。黒人の大学教授がアメリカの人種差別について考察し執筆した本だ。筆者が重視しているのは、個人的な努力によって経済的・社会的な成功を収めること。これによって黒人はただ支援されるだけの存在から抜け出せる。そして、現代のアメリカではチャンスは誰にでも自由に開かれているという。主張の是非は置いておいて、とてもアメリカ的な考え方だなと思う。著者は下層階級から中流階級へと成り上がった人物だ。そのためか読み進めていくと、かつて出会った他者からの罪悪感を当てにする怠惰な黒人のエピソードを取り上げていることが多く、筆者は「怠惰な」下層階級を忌み嫌っているようにも見える。

 自分はこれをとても示唆に富んでいる本だと思うが、書かれていることが全て正しいとは思わない。この本の考え方は、人種関係なく一部の弱者を切り捨てる可能性を持っている。そもそも本書で書かれている「努力」というのは曖昧なもので、現代日本の視点から見るとヤングケアラーや毒親の問題といった努力できる環境についてや、学習資本主義の社会についても考えることが必要である。こうしたことを突き詰めると、行き過ぎた自己責任論になってしまうかもしれない。自分なりの問題意識を持ちながら筆者の主張の一つ一つに対してしっかりと対峙しなければ、一面的な考え方に引きずり込まれてしまう、まるで劇物のような本だと感じた。

 

11/29

 「陰キャ女子」について考えている。ぼっち・ざ・ろっくの流行によって「陰キャ女子」というジャンルは注目を浴び始めている。それに伴って「あんな陰キャはいない」などといったさまざまな議論が出てきている。まず前提として考えるべきなのは、ぼっち・ざ・ろっくの連載誌がまんがタイムきららだということだ。あんなかわいい陰キャはいないと言われても、そりゃそうだろう。陰キャとしてのキャラ付けがある前に、きららの世界のキャラクターなんだから。

 また、「陰キャ女子は高確率で男と付き合っている」といった発言も見られた。この手の話題になると、「自分たち弱者男性は恋愛ができないが、女性は男に困らない」という議題が良く上がる気がする。男女交際=セックスであり、セックスがゴールになると思っているならそれでいいのかもしれないが、ただヤリ捨てられる女側にとってはたまったものではないだろう。

 あとこれは自分の持論だが、本当の陰キャはそもそも誰の視界にも入っていない。人の記憶に残る陰キャはそこそこイケメンや美女だったりするものだと思う。SNS陰キャのあれこれについて言及する人は多分顔が良い異性にしか興味はないし、本当に目立たない人間は誰の記憶にも残っていない。人間はそもそも視覚を活用しようとする時点で、目に映る情報の取捨選択をしている。結局何が言いたいかというと、「オタク」や「陰キャ」という言葉がどんどん一般の人にまであてはめられるようになっていき、従来そのコミュニティの中にいた人々がそれ以下の立場に追いやられているのではないかということだ。

 

11/30

 「ちんこまんこ短歌」というボカロ曲のことを思い出している。Delta 5というバンドの「Mind Your Own Business」という曲をサンプリングした (というより勝手に使った) 曲で、下ネタ短歌→Delta 5の演奏→下ネタ短歌→Delta 5の演奏というような構成。最後に「演奏 delta 5」というテロップと共にDelta 5のアー写が出る (勝手に使っているにもかかわらず) のがじわじわ来る。今は削除されて見れなくなっているが、意味の分からないタイミングでふとこの曲のことを思い出すことがある。

 

12/3

 サカナクションの「SAKANAQUARIUM 光 ONLINE」の生配信を見た。山口さんのMCからコロナ禍真っ只中の2020年の空気を思い出す。あの時は何もかも手探りで、漠然とした不安感が広がっていた。その中で様々なミュージシャンやアーティストが試行錯誤を繰り返していた。振り返ると、たぶん皆がどこかから希望を見出そうとしていたんだと思う。

 

12/7

 tricotの「不出来」の発売に先駆けて、収録曲のインストVerと歌詞が公開された。1曲目から意表を突くノイズ楽曲「模造紙ヒデキちゃん」から始まるのが衝撃的。前作「上出来」のエフェクティブなギターサウンドやマスロックの枠に収まらないアレンジを引き継ぎつつも、ソリッドさが出た作品な気がする。気になったのが「不出来」の歌詞で、読んだときに赤い公園の津野さんのことが頭によぎった。歌が乗った時にどうなるのか。


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 あと、中嶋イッキュウさんがぼっち・ざ・ろっくに楽曲提供した「カラカラ」も聴いてる。改めて意識すると、イッキュウさんの作るメロディーと歌詞は特徴的だなと感じた。まるでイッキュウさんの声が聞こえるようだ。曲のアレンジはtricotとは関係のない別の人なのだけれど、ギターのアレンジにキダさんっぽいフレーズとキダさんっぽくないフレーズが混在しているのが面白い。


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12/9

 今朝、スッキリにナンバーガールが出ていた。向井さんはカメラに向かって「ズームイン!」と言い、加藤浩次さんにツッコまれていた。向井さんと加藤さんの2人のやりとりがかなりうまく噛み合っていたように見えた。

 あと、所用で町の中心部に行った。クリスマス近くだからか、町中はイルミネーションで彩られていた。思えばこういう大規模なイルミネーションを見たのは初めてだなと思った。インドア派の極みの自分には、こうしたイベントに遭遇する機会がない。そしてカップルが多い。おそらく今までで一番カップルを多く見た日になったと思う。イチャイチャするカップルを見ながらイヤホンで聴くトリプルファイヤーには不思議な趣があった。そういえば吉田さんには彼女がいるんだっけ、と思い出しさらにわびしさは加速した。

 

12/11

 NUMBER GIRLの解散ライブ「無常の日」をスペースシャワーTVで見た。ナンバーガールが令和に活動してくれただけで奇跡だと思っているので、解散の寂しさはあまりなかった。そしてまさか透明少女を4回もやるとは思わなかった。

 ライブを見ていると、数十年前に作られたナンバーガールの楽曲が現代の風景にオーバーラップする瞬間が何度かあった。それは向井さんがいつの時代も変わらない、あらゆる町の風景や人間の根底にあるものを表現してきたからだろうと思う。

 自分にとってナンバーガールは物心つく前にいなくなった蜃気楼のような存在で、自分の生きる時間軸と交わることはないと思っていたバンドだった。自分はめったにライブに行くことはないし、画面越しのナンバーガールのライブしか見ていない。しかしリアルタイムでナンバーガールの復活を体験できたこと自体、とても幸せなことだと思う。

 ナンバーガールの出現によって邦ロックの歴史は完全に変わってしまった。ナンバーガールがいなければアジカンヒトリエもいなかったかもしれないし、そして今自分が聴いているバンドの2〜3割は存在しなかったかもしれない。自分にとってナンバーガールは伝説というには異常で異形すぎる。伝説というより邦ロックの特異点と表現したい。


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12/14


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 YouTubeの広告で流れてきた曲。今までで初めて広告を最後まで見たかもしれない。カントリーとハードロックって意外と合うな。サビもキャッチーでいい。

 

12/17

 サカナクションの「SAKANAQUARIUM アダプト TOUR at NIPPON BUDOKAN」のプレミア公開を見てる。アダプトのライブは作りこまれた演出にも注目だけど、「雑踏」「スローモーション」「ティーンエイジ」のような、ライブであまりやらないレア曲をやってたところも驚いた。特に「ティーンエイジ」の後半のテクノパートは絶対ライブで映えると思っていたので、アダプトをきっかけに引っ張り出してくれて嬉しい。サカナクションのテクノ曲 (ネイティブダンサーとか) はライブアレンジになると数段階ボルテージが上がるので、今回聴けてよかった。またアダプトのライブをやるにあたって、サカナクションはライブと並行して役者に演技をさせた。「ティーンエイジ」では女優の川床さんが感情を爆発させる演技があるのだけど、マイクに小さく入り込んだ叫びさえも曲を構成するアンビエントノイズのようで、偶然だと思うけどそういった演出込みで完成されてるなと感じた。

 あと「雑踏」も聴きたかったけど、オンラインライブの方でしかやってなかったらしい。円盤欲しいけどやっぱり高い。

 

12/18

 と思ってたらピンポイントで「雑踏」のライブ映像が期間限定公開された。ありがたい。シンシロの「雑踏」「黄色い車」「enough」の流れは本当に沁みるので、もっとライブでやって欲しい。というか演奏のクオリティが高すぎる。CD音源と遜色ないレベル。


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 あと、テレビを流していたらおもしろ映像として「しょし」ことフィンランド版YMCAの映像が流れていた。

 

12/22

 B'zのBAD COMMUNICATION (シングル) を聴いてる。B'zはジャンルとしてはハードロックなんだけど、初期はめちゃくちゃディスコ調の曲をリリースしていた。特にこのシングルは3曲とも7分もあるし、完全にクラブ向けの作品であるという印象を受ける。

 しかし松本さんの曲には今のハードロック路線にも昔のディスコ路線にも、独特なメロディーの良さがある。日本の音楽にある歌謡的な部分ってJ-POPの大きな特徴だと思っていて、そんなJ-POPとディスコがかなりマッチして融合しているのは不思議だなと思った。時代を感じさせるサウンドだけどメロディーやフレーズの良さで聴かせるという部分では、個人的にはNew Orderを連想した。New Orderから続けて同じくらいのテンションで聴ける。

 

12/24

 クリスマスイブが来た。今年もTwitter上では非リアたちが怨嗟の念を呟いている。自分たちのような非リアは事あるごとにセックスについて騒ぐ。しかしよく考えてみると、セックスというものはそんなに特別なことだろうか。この世界に生きる大半の人にとってセックスは当たり前なんだろうなと思う。でなけりゃ世界にこんなに人が生まれて人類が存続しているわけがない。自分たちが無駄に騒いでいるだけで、セックスは生活と隣り合わせのものなのかもしれない。

 そうすると、自分は人類の中での特異点なのかもしれないという結論に達した。セックスは人間の生殖に関わり、人の人生を左右するものだ。だとすれば、自分のような人間がそういうことに関わるべきではない。正直なところ、陰キャを自称している人々でさえも1回くらいはセックスを経験しているのではないかという気さえしている。そもそもセックスというのはコミュニケーションの延長線上にある。自分はもはや陰キャを超えた社会不適合者なので、そもそも他人と関わる域にさえ達していない。

 そう考えると、なんだか自分が孤高の存在のように思えてくる。そして「上で待ってるぞ」的な気持ちでクリスマスに一喜一憂する人々を見ているのである。まあ実際に自分がいるのは下なんだけど。自分の道を行くには、世間が定義する幸せとは距離を置く必要がある。クリスマスを少し楽しくするために、これからは自分が人類の特異点であることに誇りを持っていこうと思う。

 

12/27

 セカンドストリートに行った。SquierのBronco BassやFenderのStarfire Bassなど、近場ではなかなか見かけないレアものがあった。見ているだけで楽しい。あと、ぴんはげさんも使っているMayonesの5弦ベースもあった。中古でもやっぱりクソ高かった。ジャズマスターを買ったのでギター欲はかなり落ち着いて、代わりにベースにばっかり視線が行ってしまう。

 あと、ふとKANA-BOONの「日は落ち、また繰り返す」を改めて聴いていたらなんか刺さって、KANA-BOONの曲を聴き返している。改めて聴くと良いなーと思う。古賀さんのギターフレーズも良い。


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2023/1/1

 また今回も年が明けてしまった。朝起きてなんとなく見たテレビでは、ロバート秋山さんが寺の中で奇声を発していた。新年一発目の映像にしてはシュールすぎると思ったが、なんとなく幸先がいい気がする。

げねの日記 2022年 9-10月編

9/1

 9月が始まった。今日は初期のサカナクションやたまを聴いた。秋の季節に何となく合っててとてもいい。まあいつ聴いても良いんだけど。

 

9/2

 外に出たら風の冷たさと太陽の暑さのコントラストが凄かった。秋って感じがする。そして季節の変わり目なので鼻炎も加速する。そしてTempalayの新曲 (というより過去曲の再録) が良かった。


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9/3

 今夏に初めてひまわりを見た。

 

9/5

 MIDI時代のゆらゆら帝国のMVがいつの間にか公式で公開されていた。ソニー時代のMVは2020年に公開されてたので、これで全期間のMVがYouTubeに出揃ったということになる。


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 ただでさえヤバいのに、柴田さんがまともにドラムを叩いてないのがヤバさを加速させる。そして虚空を見つめる目がヤバい。

 

9/6

 台風が日本の横を通過しているらしい。風で家が揺れている。そういえば今日は何度も傘がひっくり返った。それを直そうとして傘の端がおもいっきり顔面に当たり、水を被ったりしていた。

 

9/7

 9mmが出ていたモンスターロックを見た。滝さんが壱百満天原サロメさんの痛車に遭遇していたらしい。車体には「おハーブですわ~!」と書かれており、しかもフロントスモークだったとのこと。「これ車検通んないやつじゃん」→警官から職質→車の内部を調べられる→「これは何だね?」→「おハーブですわ~!」というきれいなトークの流れにおハーブですわ。

 

9/9

https://tver.jp/lp/episodes/epbe06eznh

 フジテレビの「ここにタイトルを入力」という番組を知った繋がりで、同局の「水曜NEXT!」という枠でおもしろいことをやっているらしいことを知った。そこで、TVerで配信していた最新話「夜の顔 第一夜」を見てみた。

 おぎやはぎの小木さんを主演に据えたモキュメンタリー。小木さんの妙なうさんくささから不穏な雰囲気が漂う。後半になるとそうした嫌な予感が明後日の方向からやってくる。

 小木さんが実は真っ黒なヒトコワ系かなーと思うだろう。しかし、予想を裏切り番組はバリバリ霊障のガチホラーに。伏線とかもあったもんじゃない。絶対最後のワンカットに何かあると思って画面から目を逸らしててよかった。

 

9/12

 自分の中でリーガルリリーの波が来ている。自分は「ぶらんこ (Lycanthrope)」でリーガルリリーの凄さに気付き、そこからいろいろ聴いてる。「蛍狩り」とか世界観が凄いなぁと思う。オルタナは良い。


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9/16

 自転車に乗っていたら、歩いていた中学生から「こんにちは」と話しかけられた。反射的にこっちも「こんにちは」と返した。周りを見ると自分と中学生以外に人影はなかったので、恐らく学校の誰かと間違えられたのだろう。なんとなく気まずい感じにはなったが、挨拶は誰も傷つけない。平和を感じた。

 

9/17

 兄弟からの勧めで「My Sweet Blossom」というゲームをやった。アングラでどこか幻想的なゲームだった。やはりかなりのアングラ感があって、相当こじらせているなと思った。でもやはりアングラはこじらせてナンボだろうと思う。あと自分にしては珍しく、ゲーム部分は比較的簡単にクリアできた。

 

9/18

 父親の誕生日記念ということで、家族で焼き肉を食べに行った。最初にホルモンなどの油が多い肉を乗せすぎたのか、肉を焼く機械から大きな火柱が立ち上った。てんやわんやの中、自分の脳内ではこれが流れていた。


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 火柱はなかなか治まらず、自分は立ち昇る火と熱さで「あーっ!あーっ!あーっ!」状態だった。でも肉は美味かった。ただかなり体力を消耗したし、肉を美味しく食べるには焼き加減の調整も上手くないといけないことを実感した。

 

9/20

 killing Boyのサブスクがいつの間にか公開されてた。少し前まではなかった気がする。


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 伊東真一さんが作るフレーズが好きだ。wowakaさんがSPARTA LOCALSに影響を受けているので、そのルーツだからだろうと思う。そしてNothing’s Carved In Stoneのリズム隊もとてもバチバチで、しかも安定感がある。聴いてて気持ちいい。

 

9/22

 ジャズマスターTシャツを着た人を見かけた。欲しいけどおそらくもう買えない。

https://www.uniqlo.com/jp/ja/products/E453305-000/00?colorDisplayCode=00&sizeDisplayCode=005

 

9/28

 アジカンのニューシングル「出町柳パラレルユニバース」が発売された。自分は配信で聴いてるけれど全曲良い。Weezerのカバー曲はAAAMYYYさんがいい仕事してるし、「追浜フィーリンダウン」は来たるサーフ ブンガク カマクラ2へのワクワクを煽る良曲。「出町柳〜」と「柳小路〜」では、サーフ〜の音作りに寄せた「柳小路〜」の方が個人的には好きで、やっぱり自分はサーフ〜のサウンドが好きなんだなあと感じた。


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 MVはタイアップ感を前面に押し出してきて、メンバーがコスプレをしている。君の街までを超えるほどの問題作かもしれない。

 

10/7

 耳中華さんの2ndアルバム「笑う光」が出てたのを今日知った。前作よりポップに、しかし挑戦的な姿勢は薄れていない印象。個人的には「進化」がお気に入り。

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 それと同時に前作「光のお店」の収録曲「テント買おうと思った」がTikTokで流行っていることを知って驚愕した。たしかに耳中華さんの作るメロディーはキャッチーだが、そういったコンテンツとはかけ離れた存在だと思っていたので面食らった。ティックトッカーは一体どこからこの曲を見つけてきたのか。

 オタクのTikTokに対する目線は厳しい。特に楽曲へのリスペクトの無さを問題視する声は多い。前述した耳中華さんの「思い出を発表するコーナー」を使った動画もあるが、歌詞の「『はい』が足りてなかった」の部分が勝手に「愛が足りてなかった」にされ動画が作られている。しかし、どれだけ曲の本来の姿が捻じ曲げられようとも、曲が再生されれば耳中華さんの世界観が広がる。頭の中で赤青緑のクリーチャーが踊り出すのだ。耳中華さんの曲には、そうした外部のものに左右されない強度があると思っている。

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10/8

 宇佐見りんさんの「かか」を読んだ。一言でいうとこれは「業」の小説だなと。この小説を「難しい」という人の気持ちも分かった。崩壊しかけの家庭と「この不幸は何によってもたらされたのか」という禅問答を主軸に、殴る者と殴られる者・女として生まれるということ・生殖への疑問などでいっぱいになりながら、主人公のうさぎが導き出す考えはもはや信仰といえるもの。果てには宗教的モチーフまで登場し、自然=神の存在との対峙にまで至る。

 不思議なのが感情移入できなくてもどこか腑に落ちてしまうところ。主人公はこうした人生を辿って、こういう結論にたどり着いたんだという妙な納得感。理屈で表現できない感覚を筆舌に尽くすことこそが、小説、そしてものを書くということの醍醐味ではないかと感じた。

 

10/10

 ボカコレの曲をちょくちょく見ている。今のところ刺さったのは世界電力さんの「太陽の王国」とOUTLOUDさんの「バズリニキ真下くんとコサンニーナ・リマセンカちゃん」。

 「太陽の王国」は世界電力さんが今まで作ってきたオルタナ・ポストロック系サウンドから一転、民族的なリズムを取り入れた壮大な雰囲気を感じる曲。さらにロックの高揚感もあり、メロディーも良い。とても好き。

 

 「バズリニキ真下くんとコサンニーナ・リマセンカちゃん」は本格的なEDMに、高クオリティで癖の強い映像が乗る。曲のメロディー自体がポップだからか、それともずんだもんの歌声のおかげか、妙な爽やかさがある。中毒性の高い作品。

 

10/12

 Fenderの新商品シリーズ「American Vintage II」の発表に関わる情報を見てるうちに、自分の欲しい機材について考えていた。やっぱり人生で1回は30万くらいのギターを弾いてみたいけど、自分に他のギターとの違いがわかるとも思えない。

 あとやっぱりアルダーのギターが欲しいけれど、高い機種にしか使われなくなってる気がする。最近木材が枯渇してるし値段も高騰しているので、新しい定番の木材が必要となる時代なのかもしれない。個人的にはパインとかナトーが気になる。

 

10/24

 数日前にデカい口内炎ができた。直径5mmくらい。とても痛い。口が思うように動かせず唇が乾くので、リップクリームを塗ったらそこそこの激痛が走った。刺すような痛みに耐える日々。

 

10/26

 ホルモンの新曲「刃渡り2億センチ」が完全に意表をついてきた。まさかブレイクコアをやってくるとは思わないじゃん。しかも高クオリティ。完全に新しい扉を開けている。ライブではどうやってやるんだろう。ホルモンは最近色々やらかしてばっかりだけど、亮君の才能はやっぱり本物なんだなと感じる。


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10/29

 久しぶりに自作のアルバムとEPを聴き返してみた。昔の俺、けっこうやるやん。そして、曲を作るためのモチベーションが少し戻ってきたような気がした。負けていられない。ライバルは自分だとはよく言われるけど、その意味が分かったような気がした。

 

10/30

 麻耶雄嵩さんの「神様ゲーム」を読んだ。ミステリの定石を破った実験的推理小説という側面では語られ尽くされている本作だが、個人的にはサイコホラーというか「セブン」みたいな鬱映画にも近い印象があった。本作では話の本筋以外にも、気の滅入るような表現が出てくる。ヒーロー番組のロボなどの名前に使用される単語が「ジェノサイド」「ネクロフィリア」だったりする部分は、まだブラックジョークとして捉えられるが不穏な空気が漂う。同僚から酒を大量に飲まされてレイプされる主人公の担任。「神様」である鈴木の「主人公は両親の本当の子供ではない」という暴露。轢き逃げをして捕まる戦隊ヒーロー番組のレッドとブルー。物語の主軸である猫殺し事件や親友の死以外にも、不条理な出来事が1つ1つ積み重なり、丹念に主人公と読者の心をへし折っていく。子どもにとって「信頼できるもの」が1つずつ崩壊していくのだ。これらは推理に必要な伏線などでは全くない。芳雄を絶望させるために散りばめられたものである。

 自分は「世界はクソだ」という哲学で生きているが、少年が人生に絶望する過程をこうも詳細に描かれるときついものがある。やっぱり本当の絶望というのはもっと深いところにある。自分なんかまだ希望を持っている方だ。映画の「セブン」に「この醜い世界に子どもを産んでいいのか」という葛藤を持つ人物があったが、本作は「醜い世界に生まれてしまった人間のその先」を描いているのではないか。自分がこの本を一言で表すとするなら、「ある少年が人生を諦めるまでの物語」になるだろう。

 

 ちなみに仮面ライダーBLACK SUNも少しずつ見ている。BLACK SUN1・2話→神様ゲーム→BLACK SUN3話という流れで見ていたので、情緒がとんでもないことになってしまった。今野、そこに愛はあるんか?

 

10/31 (ネタバレ反転)

 昨日からの勢いで続編の「さよなら神様」も読んでしまった。個人的には「神様ゲーム」とはだいぶ印象が違うように思えた。「神様ゲーム」が鬱サイコホラーだとしたら、「さよなら神様」は鬱ヒューマンドラマだと思う。あと、後味は神様ゲームよりは確実にまし。

 やはり注目すべきはオチだろう。ここまで吹っ切れてしまうとある意味で痛快さまである。「雨靴が水溜まりをアルペジオでかき鳴らす」なんてクサい表現、「~のだ」というイラつく語尾、そしてレビューでもほぼ言及されている「❤︎」(個人的には「スイーツ(笑)」的な雰囲気を感じる) 。文章表現自体が大衆的な口語文に変わっている。レビューで「本当に小学生か?」と突っ込まれがちだった地の文と比べてみると、かなり意図的なものを感じる。神様の存在にとらわれていた主人公は、市部の支配下になることによってそこから抜け出したのだろう。この前見たドンブラザーズの雉野のような笑顔をした淳が頭の中に思い浮かぶ。後味が悪くも神の存在に一矢報いたラストだろう。

 主人公たちは久遠小探偵団として事件の真実を追い求めた。時には真相と人情の間で揺れ動き、真実を明かすことが本当に正しいことなのか苦悩した。しかしラストでは、まるで真実に興味が無くなったかのように。それはそうだろう。真実を追い求めることで幸せになるとは限らず、それどころか事態はどんどん悪くなっていったのだから。市部に実質的に洗脳されているのか、もしくは自発的意思なのかはわからない。しかしいずれにしても、もう目を背けることでしか生きられないのだろう。大人になるとはこういうことなのだろうか。

 

 ちなみに本作は漫画版がどこかで連載中らしい。あのラストは受け手によってだいぶ解釈 (というかイメージ) が変わってくると思うので、漫画版の作者はアレをどう解釈してイラストに描き起こすのか気になる。