げねのチラ裏

げねのブログです。だいたい音楽について語っていますが、たまに他の事にも触れます。気が向いた時に更新していこうと思います。

げねの日記 2022年 9-10月編

9/1

 9月が始まった。今日は初期のサカナクションやたまを聴いた。秋の季節に何となく合っててとてもいい。まあいつ聴いても良いんだけど。

 

9/2

 外に出たら風の冷たさと太陽の暑さのコントラストが凄かった。秋って感じがする。そして季節の変わり目なので鼻炎も加速する。そしてTempalayの新曲 (というより過去曲の再録) が良かった。


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9/3

 今夏に初めてひまわりを見た。

 

9/5

 MIDI時代のゆらゆら帝国のMVがいつの間にか公式で公開されていた。ソニー時代のMVは2020年に公開されてたので、これで全期間のMVがYouTubeに出揃ったということになる。


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 ただでさえヤバいのに、柴田さんがまともにドラムを叩いてないのがヤバさを加速させる。そして虚空を見つめる目がヤバい。

 

9/6

 台風が日本の横を通過しているらしい。風で家が揺れている。そういえば今日は何度も傘がひっくり返った。それを直そうとして傘の端がおもいっきり顔面に当たり、水を被ったりしていた。

 

9/7

 9mmが出ていたモンスターロックを見た。滝さんが壱百満天原サロメさんの痛車に遭遇していたらしい。車体には「おハーブですわ~!」と書かれており、しかもフロントスモークだったとのこと。「これ車検通んないやつじゃん」→警官から職質→車の内部を調べられる→「これは何だね?」→「おハーブですわ~!」というきれいなトークの流れにおハーブですわ。

 

9/9

https://tver.jp/lp/episodes/epbe06eznh

 フジテレビの「ここにタイトルを入力」という番組を知った繋がりで、同局の「水曜NEXT!」という枠でおもしろいことをやっているらしいことを知った。そこで、TVerで配信していた最新話「夜の顔 第一夜」を見てみた。

 おぎやはぎの小木さんを主演に据えたモキュメンタリー。小木さんの妙なうさんくささから不穏な雰囲気が漂う。後半になるとそうした嫌な予感が明後日の方向からやってくる。

 小木さんが実は真っ黒なヒトコワ系かなーと思うだろう。しかし、予想を裏切り番組はバリバリ霊障のガチホラーに。伏線とかもあったもんじゃない。絶対最後のワンカットに何かあると思って画面から目を逸らしててよかった。

 

9/12

 自分の中でリーガルリリーの波が来ている。自分は「ぶらんこ (Lycanthrope)」でリーガルリリーの凄さに気付き、そこからいろいろ聴いてる。「蛍狩り」とか世界観が凄いなぁと思う。オルタナは良い。


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9/16

 自転車に乗っていたら、歩いていた中学生から「こんにちは」と話しかけられた。反射的にこっちも「こんにちは」と返した。周りを見ると自分と中学生以外に人影はなかったので、恐らく学校の誰かと間違えられたのだろう。なんとなく気まずい感じにはなったが、挨拶は誰も傷つけない。平和を感じた。

 

9/17

 兄弟からの勧めで「My Sweet Blossom」というゲームをやった。アングラでどこか幻想的なゲームだった。やはりかなりのアングラ感があって、相当こじらせているなと思った。でもやはりアングラはこじらせてナンボだろうと思う。あと自分にしては珍しく、ゲーム部分は比較的簡単にクリアできた。

 

9/18

 父親の誕生日記念ということで、家族で焼き肉を食べに行った。最初にホルモンなどの油が多い肉を乗せすぎたのか、肉を焼く機械から大きな火柱が立ち上った。てんやわんやの中、自分の脳内ではこれが流れていた。


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 火柱はなかなか治まらず、自分は立ち昇る火と熱さで「あーっ!あーっ!あーっ!」状態だった。でも肉は美味かった。ただかなり体力を消耗したし、肉を美味しく食べるには焼き加減の調整も上手くないといけないことを実感した。

 

9/20

 killing Boyのサブスクがいつの間にか公開されてた。少し前まではなかった気がする。


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 伊東真一さんが作るフレーズが好きだ。wowakaさんがSPARTA LOCALSに影響を受けているので、そのルーツだからだろうと思う。そしてNothing’s Carved In Stoneのリズム隊もとてもバチバチで、しかも安定感がある。聴いてて気持ちいい。

 

9/22

 ジャズマスターTシャツを着た人を見かけた。欲しいけどおそらくもう買えない。

https://www.uniqlo.com/jp/ja/products/E453305-000/00?colorDisplayCode=00&sizeDisplayCode=005

 

9/28

 アジカンのニューシングル「出町柳パラレルユニバース」が発売された。自分は配信で聴いてるけれど全曲良い。Weezerのカバー曲はAAAMYYYさんがいい仕事してるし、「追浜フィーリンダウン」は来たるサーフ ブンガク カマクラ2へのワクワクを煽る良曲。「出町柳〜」と「柳小路〜」では、サーフ〜の音作りに寄せた「柳小路〜」の方が個人的には好きで、やっぱり自分はサーフ〜のサウンドが好きなんだなあと感じた。


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 MVはタイアップ感を前面に押し出してきて、メンバーがコスプレをしている。君の街までを超えるほどの問題作かもしれない。

 

10/7

 耳中華さんの2ndアルバム「笑う光」が出てたのを今日知った。前作よりポップに、しかし挑戦的な姿勢は薄れていない印象。個人的には「進化」がお気に入り。

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 それと同時に前作「光のお店」の収録曲「テント買おうと思った」がTikTokで流行っていることを知って驚愕した。たしかに耳中華さんの作るメロディーはキャッチーだが、そういったコンテンツとはかけ離れた存在だと思っていたので面食らった。ティックトッカーは一体どこからこの曲を見つけてきたのか。

 オタクのTikTokに対する目線は厳しい。特に楽曲へのリスペクトの無さを問題視する声は多い。前述した耳中華さんの「思い出を発表するコーナー」を使った動画もあるが、歌詞の「『はい』が足りてなかった」の部分が勝手に「愛が足りてなかった」にされ動画が作られている。しかし、どれだけ曲の本来の姿が捻じ曲げられようとも、曲が再生されれば耳中華さんの世界観が広がる。頭の中で赤青緑のクリーチャーが踊り出すのだ。耳中華さんの曲には、そうした外部のものに左右されない強度があると思っている。

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10/8

 宇佐見りんさんの「かか」を読んだ。一言でいうとこれは「業」の小説だなと。この小説を「難しい」という人の気持ちも分かった。崩壊しかけの家庭と「この不幸は何によってもたらされたのか」という禅問答を主軸に、殴る者と殴られる者・女として生まれるということ・生殖への疑問などでいっぱいになりながら、主人公のうさぎが導き出す考えはもはや信仰といえるもの。果てには宗教的モチーフまで登場し、自然=神の存在との対峙にまで至る。

 不思議なのが感情移入できなくてもどこか腑に落ちてしまうところ。主人公はこうした人生を辿って、こういう結論にたどり着いたんだという妙な納得感。理屈で表現できない感覚を筆舌に尽くすことこそが、小説、そしてものを書くということの醍醐味ではないかと感じた。

 

10/10

 ボカコレの曲をちょくちょく見ている。今のところ刺さったのは世界電力さんの「太陽の王国」とOUTLOUDさんの「バズリニキ真下くんとコサンニーナ・リマセンカちゃん」。

 「太陽の王国」は世界電力さんが今まで作ってきたオルタナ・ポストロック系サウンドから一転、民族的なリズムを取り入れた壮大な雰囲気を感じる曲。さらにロックの高揚感もあり、メロディーも良い。とても好き。

 

 「バズリニキ真下くんとコサンニーナ・リマセンカちゃん」は本格的なEDMに、高クオリティで癖の強い映像が乗る。曲のメロディー自体がポップだからか、それともずんだもんの歌声のおかげか、妙な爽やかさがある。中毒性の高い作品。

 

10/12

 Fenderの新商品シリーズ「American Vintage II」の発表に関わる情報を見てるうちに、自分の欲しい機材について考えていた。やっぱり人生で1回は30万くらいのギターを弾いてみたいけど、自分に他のギターとの違いがわかるとも思えない。

 あとやっぱりアルダーのギターが欲しいけれど、高い機種にしか使われなくなってる気がする。最近木材が枯渇してるし値段も高騰しているので、新しい定番の木材が必要となる時代なのかもしれない。個人的にはパインとかナトーが気になる。

 

10/24

 数日前にデカい口内炎ができた。直径5mmくらい。とても痛い。口が思うように動かせず唇が乾くので、リップクリームを塗ったらそこそこの激痛が走った。刺すような痛みに耐える日々。

 

10/26

 ホルモンの新曲「刃渡り2億センチ」が完全に意表をついてきた。まさかブレイクコアをやってくるとは思わないじゃん。しかも高クオリティ。完全に新しい扉を開けている。ライブではどうやってやるんだろう。ホルモンは最近色々やらかしてばっかりだけど、亮君の才能はやっぱり本物なんだなと感じる。


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10/29

 久しぶりに自作のアルバムとEPを聴き返してみた。昔の俺、けっこうやるやん。そして、曲を作るためのモチベーションが少し戻ってきたような気がした。負けていられない。ライバルは自分だとはよく言われるけど、その意味が分かったような気がした。

 

10/30

 麻耶雄嵩さんの「神様ゲーム」を読んだ。ミステリの定石を破った実験的推理小説という側面では語られ尽くされている本作だが、個人的にはサイコホラーというか「セブン」みたいな鬱映画にも近い印象があった。本作では話の本筋以外にも、気の滅入るような表現が出てくる。ヒーロー番組のロボなどの名前に使用される単語が「ジェノサイド」「ネクロフィリア」だったりする部分は、まだブラックジョークとして捉えられるが不穏な空気が漂う。同僚から酒を大量に飲まされてレイプされる主人公の担任。「神様」である鈴木の「主人公は両親の本当の子供ではない」という暴露。轢き逃げをして捕まる戦隊ヒーロー番組のレッドとブルー。物語の主軸である猫殺し事件や親友の死以外にも、不条理な出来事が1つ1つ積み重なり、丹念に主人公と読者の心をへし折っていく。子どもにとって「信頼できるもの」が1つずつ崩壊していくのだ。これらは推理に必要な伏線などでは全くない。芳雄を絶望させるために散りばめられたものである。

 自分は「世界はクソだ」という哲学で生きているが、少年が人生に絶望する過程をこうも詳細に描かれるときついものがある。やっぱり本当の絶望というのはもっと深いところにある。自分なんかまだ希望を持っている方だ。映画の「セブン」に「この醜い世界に子どもを産んでいいのか」という葛藤を持つ人物があったが、本作は「醜い世界に生まれてしまった人間のその先」を描いているのではないか。自分がこの本を一言で表すとするなら、「ある少年が人生を諦めるまでの物語」になるだろう。

 

 ちなみに仮面ライダーBLACK SUNも少しずつ見ている。BLACK SUN1・2話→神様ゲーム→BLACK SUN3話という流れで見ていたので、情緒がとんでもないことになってしまった。今野、そこに愛はあるんか?

 

10/31 (ネタバレ反転)

 昨日からの勢いで続編の「さよなら神様」も読んでしまった。個人的には「神様ゲーム」とはだいぶ印象が違うように思えた。「神様ゲーム」が鬱サイコホラーだとしたら、「さよなら神様」は鬱ヒューマンドラマだと思う。あと、後味は神様ゲームよりは確実にまし。

 やはり注目すべきはオチだろう。ここまで吹っ切れてしまうとある意味で痛快さまである。「雨靴が水溜まりをアルペジオでかき鳴らす」なんてクサい表現、「~のだ」というイラつく語尾、そしてレビューでもほぼ言及されている「❤︎」(個人的には「スイーツ(笑)」的な雰囲気を感じる) 。文章表現自体が大衆的な口語文に変わっている。レビューで「本当に小学生か?」と突っ込まれがちだった地の文と比べてみると、かなり意図的なものを感じる。神様の存在にとらわれていた主人公は、市部の支配下になることによってそこから抜け出したのだろう。この前見たドンブラザーズの雉野のような笑顔をした淳が頭の中に思い浮かぶ。後味が悪くも神の存在に一矢報いたラストだろう。

 主人公たちは久遠小探偵団として事件の真実を追い求めた。時には真相と人情の間で揺れ動き、真実を明かすことが本当に正しいことなのか苦悩した。しかしラストでは、まるで真実に興味が無くなったかのように。それはそうだろう。真実を追い求めることで幸せになるとは限らず、それどころか事態はどんどん悪くなっていったのだから。市部に実質的に洗脳されているのか、もしくは自発的意思なのかはわからない。しかしいずれにしても、もう目を背けることでしか生きられないのだろう。大人になるとはこういうことなのだろうか。

 

 ちなみに本作は漫画版がどこかで連載中らしい。あのラストは受け手によってだいぶ解釈 (というかイメージ) が変わってくると思うので、漫画版の作者はアレをどう解釈してイラストに描き起こすのか気になる。